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行政書士と弁護士・司法書士の業務の違い

 

行政書士と弁護士・司法書士は全て「法律に関する業務」を取り扱っている業種のため、それぞれのテリトリーが理解しにくい業種になっています。今回は行政書士と弁護士・司法書士の取り扱うことができる業務は何であるのか、またそれぞれの業種でしか扱うことができない業務とは何であるのかをご紹介していきたいと思います。

1 弁護士ができることとは?

弁護士は法律相談・裁判・調停・交渉・契約書作成など法律に関するすべての業務を行うことができます。ですから、法律問題での困りごとがある場合、弁護士に相談することでどのようなケースの問題でも処理してもらうことが可能です。

ただし弁護士に依頼することにもデメリットがあります。一つは料金が高いことがあげられます。また、弁護士にも当然得意分野・不得意分野がありますので、一概に全ての法律問題を弁護士に依頼すればベストということではないので注意が必要です。

2 司法書士ができることとは?

司法書士は主に「登記又は供託」に関する業務を専業として行っています。ですから、各都道府県の法務局周辺に多くの司法書士事務所が存在しているといえます。

ⅰ 司法書士ができることとは?

司法書士は主に「登記又は供託」に関する業務を専業として行っています。登記又は供託に関する業務としては、具体的に以下のような業務を行っています*。

・登記又は供託に関する手続についての代理行為と相談

登記に関する手続とは,不動産の権利に関する登記に関する登記申請手続、会社・法人に関する登記申請手続、抵当証券交付申請手続などになっています。

・裁判所,検察庁又は法務局に提出する書類を作成と相談

裁判所に提出する書類は訴状や準備書面、検察庁に提出する書類は告訴状等,法務局・地方法務局に提出する書類は,登記申請書や登記原因証書となる売買契約書などです。

・地方法務局長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続についての代理行為と相談

参考:法務省HP「司法書士の業務」

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji115.html

ⅱ 認定司法書士ができることとは?

2002年の司法書士法改正により、簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した司法書士(認定司法書士)に限り簡裁訴訟代理等関係業務を行うことができるようになっています。

認定司法書士になるためには、研修を受講した後に試験に合格しなければいけません。

認定司法書士にできることは「簡裁訴訟代理等関係業務」ですが、具体的には下記のような業務になります。

・民事訴訟手続

・訴え提起前の和解手続

・支払督促手続

・証拠保全手続

・民事保全手続

・民事調停手続

・少額訴訟債権執行手続

ここで注意しなければいけないポイントは司法書士が取り扱う案件には金額の制限がついているという点です。司法書士は「140万円以下」の案件しか取り扱うことができません。ですから、過払い訴訟などでは金額を確認して司法書士に依頼すべきか、弁護士に依頼すべきかを決めましょう。

3 行政書士ができることとは?

一般的に司法と立法を差し引いた業務が行政である(行政控除説)と行政が定義付けられるほど行政にかかわる業務の範囲は広くなっています。行政書士の仕事は主に「官公庁に提出する書類の作成」ですが、行政の範囲自体が広範囲にわたるため、行政書士が取り扱う業務の範囲も広範囲にわたっています。

ⅰ 行政書士ができることとは?

行政書士ができることは広範囲にわたっています。具体的には下記のような書類の作成業務を行っています。

・遺産・相続に関する書類作成や相談業務

・成年後見に関する書類作成や相談業務

・自動車登録関連に関する書類作成や相談業務

・土地活用に関する書類作成や相談業務

・内容証明に関する書類作成や相談業務

・法人関連手続に関する書類作成や相談業務

・様々な許認可申請に関する書類作成や相談業務

上記は行政書士の仕事の一部です。基本的に公官庁に提出する書類の作成や、作成業務に伴う相談業務は行政書士の管轄であるといえます。

ⅱ 特定行政書士ができることとは?

2014年の行政書士法改正によって特定行政書士の資格を得ることで、行政書類に対する不服申立てを代理で行えるようになりました。この改正により、特定行政書士は公官庁に提出する書類の作成から、不許可の場合、そのまま不服申し立てまでを取り扱うことができワンストップでサービスを提供することができるようになっています。

特定行政書士になるためには、日本行政書士連合会が実施している研修を受講し、試験に合格する必要があります。

ⅲ 申請取次行政書士ができることとは?

申請取次行政書士はビザの申請に関して書類作成業務だけではなく、入国管理局へ取次申請をすることができる行政書士のことです。申請取次行政書士に依頼することで、入国管理局への出頭を行うことなくビザを取得することができるようになりました。そのため、時間と手間を省くことが出来る便利な制度として重宝されています。

申請取次行政書士になるためには、日本行政書士連合会が実施している研修を受講し、試験に合格する必要があります。

今回は行政書士と弁護士・司法書士の取り扱うことができる業務は何かをみてきました。一見同じ法律に従事する業務のようですが、それぞれに住み分けがなされていることがお分かりいただけたと思います。自分の事案にあったプロを選択するようにしましょう。